埼玉大宮で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、無料相談をご希望の方へ。このページでは、「脅迫罪の基礎知識」「脅迫事件の逮捕の流れ」「脅迫の具体例の解説」「脅迫事件での示談のメリット」など、脅迫事件のよくある相談を読むことができます。
脅迫罪とは?脅迫事件の基礎知識
脅迫罪とはどのような罪ですか?
脅迫罪は、相手又はその親族の「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した」場合に成立する犯罪です。告知する内容は、一般に恐怖を感じさせる程度のものであることが必要ですが、告知された相手が現実に恐怖を感じる必要はありません。
脅迫罪とは(意味)
脅迫罪は、人を脅迫する行為によって成立します。ここでいう「脅迫」とは、「人の生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を加える旨を告知」することを言います。
脅迫罪の成立要件
脅迫行為は、相手方本人又はその親族の生命、身体、自由、名誉、財産について、相手に脅威を覚えさせる程度の具体的なものであることが必要です。また、相手に実現可能だと思わせ得る内容であることが必要となります。もっとも、告知によって実際に相手が恐怖を感じる必要はありません。
脅迫罪の時効
脅迫罪は、3年で公訴時効が成立します。公訴時効が完成した後は、事件が裁判所に起訴されることはなくなります。
脅迫罪の証拠
対面で相手を脅した場合には、被害者の供述や防犯カメラ映像などが証拠になるでしょう。他方、相手に脅迫文書や脅迫メールを送ったような場合はその文書やメールの内容、送信記録などが証拠になることが多いです。
脅迫罪は親告罪か
起訴のために被害者らによる告訴が必要な犯罪を親告罪と言いますが、脅迫罪は親告罪ではないため、被害者の告訴がなくても罪に問われます。
脅迫と恐喝の違い
脅迫行為によって被害者に財物を交付させる行為は、恐喝罪に該当します。この点、恐喝罪における脅迫行為は、財物の交付に向けられたものであることが必要ですが、告知する内容に制限はありません。
一方、脅迫罪は、害を加える旨告知することで直ちに成立する犯罪ですが、加害の対象は相手方本人又はその親族であることが必要です。
脅迫罪と強要罪の違い
強要罪は、脅迫によって人に義務のないことを強制する行為や、人の権利行使を妨害する行為を対象とするものです。脅迫行為の範囲は、相手方又はその親族への加害告知である点で、脅迫罪とほぼ同様とされています。もっとも、行為の強要に向けられた脅迫でなければ、強要罪の対象にはなりません。
暴力行為等処罰に関する法律と脅迫の関係
凶器を示して脅迫した場合や、複数人で共同して脅迫した場合には、暴力行為等処罰に関する法律に規定されている「示凶器脅迫罪」「集団脅迫罪」が成立します。これらは、重大な脅迫行為における、刑法の脅迫罪の加重類型です。
脅迫とは、相手の生命などに危害を加える告知のこと |
家族への加害告知でも脅迫になる |
お金や物を要求すると恐喝罪、行為を強制すると強要罪に |
凶器を示したり複数人でやると加重類型の対象に |
脅迫事件の逮捕の流れは?
脅迫事件で逮捕されるときの流れを教えてください。
脅迫罪では、一言暴言を吐いた程度で立件されることは考え難いですが、執拗に相手を脅している、態様が悪質である等、身体拘束の必要が大きい場合には、逮捕され20日以上拘束されることもあります。
脅迫罪での逮捕の流れ
脅迫罪で逮捕される場合としては、特定の人に対してある程度長期にわたって執拗な脅迫をしているような、悪質・重大と評価される場合が多いようです。逮捕された後は、10日から20日程度の勾留となり、身体拘束が継続することが見込まれます。
(ネット メール line 電話)による脅迫で逮捕
電話による脅迫のほか、インターネットや電子メール、LINEなどのアプリを使った場合でも、脅迫罪に該当することはあり得ます。そして、重大な脅迫事件であると判断されれば、逮捕に至ることもあります。
脅迫で逮捕された場合の拘留期間
脅迫で逮捕された場合、その後の勾留という手続と合わせて最大23日間留置場に入れられることが考えられます。なお、勾留とは捜査のために被疑者の身体を拘束することをいい、拘留(裁判結果の一つで、30日未満の間刑務所に入れられること)とは異なります。
脅迫で被害届を出された場合
警察は被害届を受理した後、被害者から話を聞いたり脅迫の証拠を収集したりといった捜査を行うことになるでしょう。被疑者を特定した場合、任意の出頭を求めて事情の聴き取りを行うケースや、逮捕の上で捜査を継続するケースが考えられます。
脅迫で告訴された場合
告訴とは、被害者が捜査機関に犯人の刑事処罰を求める意思を示すことをいいます。告訴は、被害届と同様、犯罪捜査の重要なきっかけになるものです。脅迫事件では、必ずしも告訴は要求されませんので、あえて告訴がなされている場合は、被害者の感情がそれだけ強度であることが推察されます。
脅迫で警察に呼び出された場合
脅迫で警察に呼び出される場合、警察が捜査のために事情を聞く必要があると判断したことが推測されます。加害者でないかと疑われている立場(被疑者)なのか、事情を知っている第三者の立場(参考人)なのかは事前に判別できないこともありますが、出頭自体にはどこかで応じる方が無難でしょう。出頭拒否が継続すると、逮捕に至るリスクも高くなりかねません。
脅迫を弁護士に相談するメリット
事件の内容や捜査などの経過によって、事件の見通しは様々です。具体的な事情を弁護士に伝えて相談することで、個別の事件に応じた明確な見通しを持つことが可能になるでしょう。
また、弁護士に依頼するメリットや、弁護士に依頼することのできる具体的活動についても、色々な可能性を視野に入れたアドバイスが得られるでしょう。
行為が執拗である場合や態様が悪質である場合は逮捕される |
逮捕の後は更に10日~20日勾留されることも考えられる |
弁護士への相談で見通しや依頼の利点を把握することも有益 |
脅迫事件の具体例を徹底解説
脅迫で罪に問われるのは、具体的にはどんな場合ですか?
方法に制限はありません。直接対面で脅迫した場合や、手紙、メール、インターネットを通じた脅迫であっても、脅迫罪が成立する可能性はあります。
脅迫の判例(メール ネット)
判例上、脅迫行為である加害の告知は、相手に対して直接行われる必要はなく、間接的な手段にとどまる場合も含むとされています。例えば、相手の近隣住民にビラを配布したり、相手の自宅付近にビラを貼ったりする行為でも、脅迫になり得ます。
また、メールやネット掲示板等での脅迫行為も、脅迫罪の対象になると言えます。
死ね(ぶっ殺すぞ)は脅迫罪になる?
「死ね」や「ぶっ殺すぞ」といった言動についても、それによって相手が生命に危害が加わるとの恐怖を受けるような状況でなされた場合には、当然ながら脅迫罪に該当します。一方、口喧嘩の中で口走ってしまった程度であれば、それだけで相手が生命の危険に恐怖することはないでしょうから、脅迫罪に当たるとは言い難いでしょう。
覚えとけよは脅迫罪になる?
「覚えとけよ」という言葉は、必ずしも具体的な加害の恐怖を与えるとは考え難いところです。ただし、具体的な事情に照らして身体等への加害を意味することが明らかであるような場合は、「覚えとけよ」というフレーズでも脅迫罪に該当し得るでしょう。
訴えるは脅迫になる?
「訴える」というのも、あまり具体性のある文句ではありませんし、そもそも裁判所に「訴える」行為は国民すべてに認められた権利なので、通常は脅迫になりません。ただし、その方法が社会的に逸脱したものと評価されるような場合には、脅迫罪に問われる可能性もゼロではないでしょう。
通報しましたは脅迫罪になる?
「通報しました」というのはネットスラングで目にすることのあるフレーズですが、直ちに加害内容の具体性があるとは言い難いかもしれません。もっとも、告知に至った経緯などから加害の内容が明らかに特定できる場合には、脅迫罪に該当するケースもないとは言えないでしょう。
会社にばらすは脅迫罪になる?
「会社にばらす」内容やその経緯等によっては、「会社にばらす」との発言も脅迫に該当し得るところです。例えば、不貞関係を公表するとの内容であれば、名誉に対する加害の告知と考える余地もあります。発言時の具体的状況いかんによっては、脅迫罪に当たることもあり得るでしょう。
脅迫文句 | 脅迫に当たるか? |
---|---|
「死ね」「ぶっ殺す」 | 状況によって脅迫に当たる場合も |
覚えとけよ | 身体等への加害を意味することが明らかであれば、当たり得る |
訴える | 通常は脅迫に当たりづらいか |
通報しました | 経緯などから内容が特定できれば当たり得る |
会社にばらす | 名誉等に対する脅迫に当たる場合も |
脅迫事件の示談のメリットは?
脅迫事件の場合は示談した方がいいのでしょうか?
脅迫事件は、特定の被害者がいる犯罪ですので、示談によってその被害者の許しが得られれば、処罰の軽減に向けた非常に大きな要素になります。
脅迫罪の示談のメリット
脅迫事件で速やかに示談を行うことができれば、警察の関与なく当事者間で直ちに事件が解決することも考えられます。
既に警察の捜査が開始している場合は、示談によって直ちに捜査が終了するわけではありませんが、示談は事件の起訴を防ぐための決定的な事情になることが少なくありません。
脅迫罪の示談を弁護士に依頼するメリット
脅迫事件が生じているような当事者間では、示談の協議を行うこと自体が非常に困難であると見込まれます。また、示談の条件(金銭・行動制約など)を適正な範囲に収めたり、必要な条項を組み込んだりといったことを形にするのは、専門的な知識や経験がない方には簡単ではありません。それらをスムーズかつ的確に解決するには、弁護士への依頼が最も適切であると言えるでしょう。
脅迫罪の慰謝料の相場
慰謝料とは、精神的損害に対する賠償をいいますが、その金額は加害行為によって生じる精神的損害の大きさに比例することになります。裁判例では、単発的な脅迫で20万円の慰謝料を認めた例や、反復的なストーカーの案件で250万円、300万円を認めた例などがあります。
脅迫罪の示談金の相場
脅迫事件の場合、損害の金銭換算が困難なケースも少なくありません。そのため、示談金の金額は、事件の内容・程度・期間や被害者の気持ち等によって、大きな差が生じやすいところです。数万円で成立する場合もあれば、百万円規模での示談になる場合も見受けられます。 事件ごとの具体的な金額設定に際しては、弁護士との協議がとても有益でしょう。
脅迫罪で不起訴になるには?
脅迫事件の場合、示談等の努力によって不起訴を獲得することができるケースも多いです。特定の被害者に精神的な被害を与える事件類型のため、その被害者が処分時に許すとの精神状態にあることは、極めて重要な事情になります。
脅迫罪で罰金になる?
脅迫事件で被害者が加害者の処罰を望む場合、罰金になることは少なくありません。罰金はいわゆる前科に該当することになりますが、被害者との示談が成立すれば、罰金相当の事件でも罰金を回避することは十分可能です。
脅迫罪で執行猶予になる?
脅迫事件において科せられる刑罰には幅があり、程度や態様、前科関係等によっては、実刑判決となることも考えられます。そういった危険がある場合には、示談により被害者の宥恕(許し)を得る等の努力をすることで、執行猶予になるケースは大いにあり得るでしょう。
捜査機関の関与前に示談ができれば、事件を直ちに解決することが可能になる |
刑事事件化してしまっていても、示談による被害者の許しは処罰を軽減する極めて重要な事情になる |
示談をするためには、弁護士への依頼が適切なケースが多い |